“リアル・ブルーロック” 興國高校サッカー部のススメ

” ピッチの上じゃあ 俺がキングだ “

どこの世界にも、王様(キング)はいる。

「ピッチ(競合)の中じゃあ 俺がキングだ」とは、我々DDP局が誇る “キング高橋” の発言であるが、冒頭の見出しのセリフは、今 大人気のサッカー漫画「ブルーロック」の登場人物 馬狼照英のセリフである。

少年漫画の歴史において “スポーツ漫画” はこれまで多くの人に愛され、人々を魅了し続けてきた。しかしそんなスポーツ漫画においても、作品の描く「テーマ」や「舞台」は、時代の変遷とともに少しずつ変化をしている。

そんな中、昨今のスポーツ漫画シーンにおいて注目と人気を集め始めているのが、本作ブルーロックにも代表される「選手の育成」をテーマとした作品群だ。

高校育成年代を舞台にした作品群

高校育成年代が舞台となるというのは、古くは「キャプテン翼」の時代からサッカー漫画、ひいてはスポーツ漫画の王道的設定ではあるのだが、強烈な技の応酬による派手な試合展開を追うことが中心だった時代から、今ではその裏側にある選手の成長の過程、さらに言えば選手を成長に導く監督や指導者の姿にフォーカスが当たることさえ増えてきた。

前者の例ではまさに「ブルーロック」が、そして後者は「アオアシ」が思い出されるだろう。

いずれも原作漫画が大ヒットし、既にアニメ化までされている作品である。

主人公がプロチームの下部組織に所属しプロへの昇格を目指す姿を描く「アオアシ」の描き方がとにかく写実的・現実的なら、隔離された環境下でストライカーたちが互いに蹴落としながらも切磋琢磨して世界一の座を目指す「ブルーロック」がややファンタジー寄りと、描き方・テイストに若干の違いはあるものの、どちらも主題である「選手の成長」というテーマに対して読者を納得させるだけの「根拠」や「気概」が存在するという点においては、両作品が共に育成というテーマに対して真摯に向き合う姿が感じられて、結果「どちらも好き」となる読者が多いのではないだろうか。

作者同士も互いの作品を認め合う

今回は、そんな彼らの活躍する高校育成年代のサッカーシーンにおいて、まるでフィクションから現実に飛び出してきたような、今最も熱く、熱狂出来るコンテンツを紹介する。それが「興國高校サッカー部」である。

“リアルブルーロック・リアルアオアシ” 興國高校サッカー部

興國高等学校(KOKOKU High School)は大阪府大阪市にある私立男子校だ。関西出身のキングはひょっとするとその名を耳にしたことあるかもしれないが、東京出身の内山は正直最近まで聞いたこともなかった。

というのも、大阪でサッカーが強いといったら履正社高校や大阪桐蔭、東海大仰星あたりが浮かび、実際高校サッカー選手権大会(正月にテレビ中継やってるやつ)の大阪府代表にもこのあたりが出場することが多かったからだ。興國高校が選手権に出たのは2019年が初で、今のところこの一度だけである。

しかし近年、そのテクニカルかつ戦術的なプレースタイルから、チームは「関西のバルセロナ」と称されるにまで至る。

そしてなんと興國高校サッカー部からは、この10年の間で実に27名ものプロサッカー選手が生まれている(その中には、近年日本代表でも活躍する古橋亨梧なども存在!)。他のサッカー名門校が持つような小中学生年代の下部組織も持たない中で、毎年安定してプロを輩出しているのである。

つまるところ、選手権出場経験こそ少ないものの、近年の興國は「育成の興國」として認知され、「プロ選手の排出」という実績を手にしているのだ。

そんな興國高校サッカー部を、ここであえて一つの「コンテンツ」として紹介してみよう。

プロ選手を輩出するようなチームとはいえ、高校の部活動をそもそもいったいどうやって追うのか?という点については最後に紹介するとして、まずはその魅力について、エンタメコンテンツになぞらえて、次の3つの視点からご紹介しよう。

  1. キャラクター視点
  2. ストーリー視点
  3. 裏テーマ視点